ネット上を検索したら出てきそうな内容ですが、自分で計算しないと気が済まないので、計算して記事にしていくことにしました。
毎日少しずつ計算しては追加する予定です。
この記事の目的
ポーカーを(それなりの本気度で)行っていく上で、知っておけばどこかで役に立つかもしれない知識・丸暗記しておいて損はないような計算で求まる要素についてまとめることを目的としています。
他のプレイヤーのスキルやプレイスタイルに依存しないような部分…確率統計的・数学的な部分に特化しています。
なお、エクイティ(Equity)の計算はエクイラボ(PokerStrategy.com)、一部画像の作成にPokerSnowieを使用しています。
筆者について
- ゲーム性としての興味よりもほぼ100%カネ目的(マネタイズとしての興味)でポーカーを始めた不純(?)なパターン
- 最初は名著と言われる本から学び始めて(↓にある緑の本)、その後Poker Snowieと有識者からの助言などで勉強していったタイプ
- Kindleで読めるポーカー本の記事を初めてアップした時点のスキルを5とすると、ポーカーソウル攻略に関する記事を書き始めた頃(2023年はじめ)のスキルが90、そして現時点(2024年9月)のスキルは1500くらい…と勝手に思っている(あくまで自身の分析)少なくともポーカーソウルの記事を書いていた自分を今の自分が圧倒できるとは思う(それなりのハンド数は必要だが)
- 当然ゆくゆくはポーカーでカネを…と思ってはいたが、国内を拠点としてポーカーをプレイすることでカネを稼ぐことが昨今の情勢的に厳しい(いろいろと面倒)ということを察し、今は様子を見つつ研鑽している状態(海外に拠点を移してまでポーカーをする気はあまりない)
- こんなカネにならない題材の記事をプロやトッププレイヤーが書くわけないので、せっかくなので私もポーカー界の発展に寄与すべく書こうという経緯も(若干)ある
- 数学(統計)の専門家ではないが、工学系修士(大学院前期課程)を修得するまでに何かと数字を取り扱ったので、最低限の数学的能力は持ち合わせている…と思う
ドミネート編
高エクイティハンドの被ドミネート率と被ドミネート時のエクイティ
THIS MOVE IS CORRECT(なお期待勝率約12%)
対ランダムに対し圧倒的な強さを持つ、またはそこそこ強いとされアーリーポジションからもオープンできるようなハンド(99+, AJ+, KJ+)について、ドミネートされているハンドとその確率、そして期待勝率をまとめた。
今回は面倒さ(複雑化)回避のため、オフスートとスーテッドを別々には考えないこととした。
ハンド | 対ランダム エクイティ | 被ドミネート コンボ数 | 被ドミネート率 | 被ドミネート時 エクイティ |
---|---|---|---|---|
KK | 82.40% | 6 (AA) | 0.49% | 18.05% |
79.92% | 12 (KK+) | 0.98% | 18.26% | |
JJ | 77.47% | 18 (QQ+) | 1.47% | 18.45% |
TT | 75.01% | 24 (JJ+) | 1.96% | 18.64% |
99 | 72.06% | 30 (TT+) | 2.45% | 18.71% |
AK | 65.75% | 3 (AA) | 0.24% | 8.16% |
AQ | 64.88% | 18 (KK+,AK) | 1.47% | 24.63% |
AJ | 64.02% | 39 (QQ+,AQ+) | 3.18% | 26.22% |
KQ | 61.94% | 33 (KK+,AQ+) | 2.69% | 22.48% |
KJ | 61.07% | 51 (QQ+,AK,AJ,KQ) | 4.16% | 24.50% |
一般に「ドミネート」はオーバーペア(例:AA対KK)か同ハイカードでキッカー違い(例:AK対AQ)のときに用いられることが多く、オーバーペアはおよそ2:9(世間的には2:8)、キッカー違いは3:8(世間的には3:7)という低エクイティになる。
今回は算出にあたり、「被ドミネート(ドミネートされているパターン)」の定義を「エクイティが30%を切る場合」とした。その結果、ドミネートハンドと同程度のエクイティしかないパターンも例外として被ドミネートハンドとして加えている(例:AJ対QQ)。
注目点として、AKの被ドミネートハンドはAAのみなので3コンボしかなく、KKの被ドミネートハンド(AA)よりもドミネートされる確率は低い(ただしドミネートされたらお通夜)。なおAK対KKはAK側に30%以上のエクイティがあるため、今回はドミネートされてないものとしている。
何かにつけてAKはプリフロップまでオールインまで行ってもいい(仕方がない)ハンドと言われがちではあるが、相手がQQならほぼ5分5分、最悪KKでも3:7くらいのエクイティがあるため、運が良ければKKやQQを降ろせる可能性があるPFAIが一つの作戦として有効なのだろう。まあ基本的にKKを降りる人はいないが…
あと、KJの被ドミネートハンドの多さを考えると、(スーテッドハンドは迷うところではあるが)3betが返ってきたら基本的にはフォールド寄りに動くことが利益的というのもうなずける。ただPokerSnowieはKQs、KJsで3betを推奨する局面が多いので扱いが難しいハンドだと思う(もちろんその意図はブラフレイズではあるが)。
計算式
自分が特定のスターティングハンドを持っている時、残りの50枚で任意の2枚を選ぶ際の組み合わせ(コンボ)は1225コンボ(50C2)。
よって、被ドミネート率は、ドミネートされているコンボ数を1225で割ると求められる。
高エクイティハンドがドミネートハンドに遭遇する確率
このとき、誰かがAAを持っている確率は4.32%
実際にポーカーテーブル上で上記被ドミネートハンドに遭遇する確率(小数点第2位まで)を、後ろにアクションを控えている人数ごとで算出した。
なお下表で書かれている確率は「最低1人以上が被ドミネートハンドを持っている確率」であるため、「複数人数が被ドミネートハンドを持っている」という可能性も含まれている。
また、被ドミネートハンドを持たれているからといって、そのプレイヤーがそのハンドを持って参加するとは限らないことにも注意されたい。
ハンド | 後ろに控えているプレイヤーの数 | ||||
---|---|---|---|---|---|
1人 | 2人 | 3人 | 4人 | 5人 | |
KK | 0.49% | 0.98% | 1.46% | 1.94% | 2.43% |
0.98% | 1.95% | 2.91% | 3.86% | 4.80% | |
JJ | 1.47% | 2.92% | 4.34% | 5.75% | 7.13% |
TT | 1.96% | 3.88% | 5.76% | 7.61% | 9.42% |
99 | 2.45% | 4.84% | 7.17% | 9.44% | 11.66% |
AK | 0.24% | 0.49% | 0.73% | 0.98% | 1.22% |
AQ | 1.47% | 2.92% | 4.34% | 5.75% | 7.13% |
AJ | 3.18% | 6.27% | 9.25% | 12.14% | 14.94% |
KQ | 2.69% | 5.32% | 7.87% | 10.35% | 12.76% |
KJ | 4.16% | 8.15% | 11.98% | 15.64% | 19.15% |
ハンド | 後ろに控えているプレイヤーの数 | |||
---|---|---|---|---|
6人 | 7人 | 8人 | 9人 | |
KK | 2.90% | 3.38% | 3.85% | 4.32% |
5.74% | 6.66% | 7.57% | 8.48% | |
JJ | 8.50% | 9.84% | 11.17% | 12.47% |
TT | 11.19% | 12.93% | 14.64% | 16.31% |
99 | 13.82% | 15.93% | 17.99% | 20.00% |
AK | 1.46% | 1.70% | 1.94% | 2.18% |
AQ | 8.50% | 9.84% | 11.17% | 12.47% |
AJ | 17.64% | 20.27% | 22.81% | 25.26% |
KQ | 15.11% | 17.40% | 19.62% | 21.79% |
KJ | 22.52% | 25.75% | 28.84% | 31.80% |
6人テーブルの場合は1~5人を参照、MAX10人テーブルを想定して9人まで算出した。
基本的な変動の仕方として、人数が倍になるごとに確率もほぼ倍になることが見受けられる。しかしそれは値が小さい場合に限ってであり、値が大きくなると厳密には倍ではない(倍よりも小さくなる)。
例として、ヘッズアップにおいてSB(BTN)がKKを持っている時、相手(BB)がAAを持っている確率は0.49%。10人テーブルのUTGでKKを持っている時、1人ないし2人がAAを持っている確率が4.32%あることが表から分かる。つまり、およそ25回に1回はAAを誰かに持たれていても文句は言えないということになるが、これを大きい(高頻度)と思うか小さい(低頻度)と思うかはそれぞれで判断してほしい。個人的には25回に1回を気にしてパッシブにプレイするのは損だと考える(25回中24回相手がAAじゃないハンドとプリフロップでショーダウンまで持ち込めたら良いじゃないという考え)。
KK~99のポケットペアに関して、ランクが1つ下がるごとに+1倍されていく点、そして人数が1人増えるごとにほぼ+1倍されている点を知っておけば、「0.49%」を覚えておけばほぼほぼ丸暗記は容易といえそう。0.49が中途半端に感じる場合、0.5と近似すれば、現場で楽に見積もることができると思う。
そしてAKに関して、KKと比べて被ドミネート確率がほぼ半分になっていることも注目したい。AKをプリフロップから強くプレイできる根拠といえそうだが、降りない相手に対して際限なくレイズするのは考えものだと個人的には思う。
計算式
あるハンドにおける被ドミネート確率をaとしたとき、隣のプレイヤーのハンドが被ドミネートハンドでない確率は(1-a)。
そして、後ろに控えるプレイヤーの数をnとしたとき、全員が被ドミネートハンドでない確率は(1-a)n。
よって、誰か1人以上が被ドミネートハンドを持つ確率は、1(全体)から全員が被ドミネートハンドでない確率を引いた 1-(1-a)nとなる。
計算例:ポジションBTN(後ろ2人)でハンドKK(被ドミネート確率:0.49%)の場合、
1-(1-0.0049)2 = 0.00977… ≒ 0.0098(0.98%)
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